人間中心知能システム研究室のご案内
当研究室は、人間中心の個人データモデルの研究と、そのモデルを人間中心の知能システムに応用することに努めています。これらのシステムには、現実世界のデータ収集、大規模なデータのクラウドストレージ、人工知能による分析、そして現実世界へのフィードバックを提供するCPS(サイバーフィジカルシステム)メカニズムが含まれます。
当研究室が提案する人間中心の個人クラウドデータモデル(UPOD: Ubiquitous Personal Online Data Store)は、ユーザーが自らのデータの所有者となり、特定の個人や機関に対してデータの共有権限を随時付与または取り消すことができる、脱中心型の個人デジタル環境です。
特定の企業やサービスがユーザー情報やコンテンツを自社のプラットフォーム内に閉じ込め、外部へのアクセスや共有を制限する状況は「ウォールドガーデン」(Walled gardens)と呼ばれます。当研究室は、個人がデータの主導権を取り戻し、個人UPODに集約するための研究を行っています。全面的に保存された個人データは、個人のデジタルツインモデルの作成や、人間中心の知能システム構築に有利です。
そのUPODのアプリケーションは、知識労働に関連する情報を支援する個人書斎ポータル(UbiStudy)や、高齢者の健康管理システム(Ubi-Care)、食事栄養管理システム(Ubi-Diet)、スマートホームシステム(Ubi-Home)、キャンパス情報システム(Ubi-Campus)などがあります。これらは、すべて脱中心型スマートシティのフレームワーク(Ubi-City)にシームレスに接続できます。
さらに、分散型通信プロトコルActivityPubの応用、および高齢者の生活支援のためのさまざまなIoTセンサー、スマートホームデバイス間の相互データ通信を実現するゲートウェイ、そしてスマートロボットや自動運転シミュレーターDonkeyCarについても研究しています。
ポイント
RaspberryPiとArduinoで作るIoT装置、
Internet of Things (IoT)
モノのインターネット (IoT) は、電子機器、ソフトウェア、センサー、アクチュエーター、およびこれらのモノが接続してデータを交換できるようにする接続機能が組み込まれた物理デバイス、車両、家電製品、およびその他の要素のネットワークであり、最大限の効果を発揮する機会を生み出します。物理世界をコンピュータ システムに直接統合し、効率と経済的利益を向上させ、人的労力を削減します。
Ubiquitous computing
Ubiquitous computing(普遍コンピューティング)は、情報技術が日常生活のあらゆる側面に浸透し、目に見えない形で組み込まれ、人々の周囲の環境と対話する能力を持つことを指します。この概念は、米国のコンピュータ科学者であるMark Weiserによって提唱されました。
Ubiquitous computingの目標は、人々の日常的な活動を支援し、コンピュータや情報技術を直感的で透明な方法で利用可能にすることです。そのために、情報技術は個々のユーザーの視界から外れ、主に裏方で動作するように設計されます。ユーザーがコンピュータの存在を意識することなく、自然な形でその利点を享受できるようになります。
具体的な例としては、スマートフォンやウェアラブルデバイス、インターネット・オブ・シングス(IoT)デバイスなどが挙げられます。これらのテクノロジーは、人々が日常的な活動を行う中でシームレスに統合され、情報やサービスを提供します。Ubiquitous computingは、個々のデバイスやシステムの互いの連携が重要な役割を果たすことで、より効果的に機能します。
UPOD: a Fediverse Node
人と人の関係を中心とするソーシャルネットワークサービスの登場により、オンライン上で構築した人間関係の中で容易に情報共有をすることができる一方、ユーザが様々なサイトにプロファイルを残し、個人情報は分散、分断される。さらにスマートホーム、スマートシステムなどのスマートシステムにもの利用者プロファイルの収集、保存、共有に関しても安全性、プライバシーなどの課題が存在する。
我々はUPOD(Ubiquitous Personal Online Data Store )という理想な個人空間を提唱し、個人のプロファイル、SNS投稿、さらにIoT関連体温などの個人情報をそこに集め、スマートな情報の共有、推薦できる環境を構築する。さらにActivePubという非中央集権型の分散 SNS のオープン標準で他のソーシャル プラットフォームと相互接続され、Fediverseネットワークを通して多様な機能を実現する研究も進めている。
研究入門
暗記、「車輪の再発明」ではなく、「巨人の肩の上に立つ」を目指し、既存のシステムの組み合わせで、創造的教育を試みます。一緒にICT関連知識を幅広く集め、知識のつながりを作り、クリエイティビティを高めよう。
まずクラウドの三種の神器 (Gmail・Dropbox・Evernoteの3サービス) を活用し、知識の集め;それからWordPress、Android、Raspberry Pi で何時でも何処でも誰もがさりげなく容易に利用できる情報システム・サービスの創るプロセスを通じて、知識のつながりを図ります。
最先端のネットワーク情報システムを開発してみたい、ソフトウェア工学的アプローチに加え、学際的視点に立って、情報システムやネットワークサービスを研究し、活用してみたい、または、人間中心の知能システムやネットワークサービスの未来像や情報社会の将来について探究してみたいという方は、ご連絡ください。